防犯カメラ・監視カメラの規格について

防犯カメラ・監視カメラの規格について

HD-SDI、EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVI、アナログ(CVBS)などの様々な防犯カメラ・監視カメラの規格について

2018/07/31 update

昨今、映像技術はイメージセンサーの高解像度化や映像圧縮技術の大幅な向上により、HD画質、フルHD画質が標準的となりました。(HD:High Definition) また、4K、8Kなどのさらなる高精細映像表現が可能なUHD画質(Ultra High Definition)も徐々に普及し始めています。

セキュリティ業界の防犯カメラ・監視カメラも同様に高画質化が進んでおり、HD画質、フルHD画質が標準的となってきました。それに伴い、昨今の防犯カメラ・監視カメラには複数の規格が存在しています。従来のアナログ画質(SD画質)はアナログ方式(CCTV / CVBS)、HD画質(720p)・フルHD画質(1080p)以上にはHD-SDI、EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVIと呼ばれる5つの規格があります。

お客様からのお問い合わせ、ご相談でも防犯カメラ・監視カメラの規格についてのご質問が非常に多い為、こちらのページでは、各規格のメリット、デメリットを説明させていただき、防犯カメラ、監視カメラの導入をご検討中のお客様に、どの規格を選定すれば良いのか、その判断の手助けをさせていただければと思います。

ANALOG(CVBS)アナログカメラ(アナログ式防犯カメラ/CVBS)

アナログカメラ( アナログ式防犯カメラ / CVBS )

コンポジット映像信号(CVBS)を用いたHD画質以前の一般的な防犯カメラ・監視カメラでアナログカメラ、アナログ式防犯カメラ、CCTVカメラ等と呼ばれています。画素数は25万画素~52万画素と100万画素、200万画素が当たり前となっている昨今、画質面では大幅に劣ってしまいますが、監視したい対象をしっかりと定め、適切なレンズ選定・調整を行うことで十分な撮影が可能です。また、長年培ってきた信頼と実績があり、細かな規格が無い為、ほとんどのメーカー間の製品で互換性がある等のメリットもあります。

アナログカメラのメリット

  • 長年培ってきた実績
  • 様々な機器との互換性
  • 長距離配線が可能
  • ローコストで導入が可能

アナログカメラのメリットは何と言っても長年の実績があり、様々な機器間での互換性があることです。その為、ラインナップが多く、使用用途に合わせた様々な防犯カメラ・監視カメラを選択することができます。また、配線には同軸ケーブルを用いますが、映像伝送距離は3C-2Vでは200m、5C-FBでは500mの長距離配線が可能です。導入にあたってのコストも安く、コスト面を抑えたい場合に適します。

アナログカメラのデメリット

  • 30万画素~50万画素と旧世代の画質
  • ノイズによる影響を受ける
  • 将来性の無さ

HD画質・フルHD画質全盛期の昨今、画質面では大きく見劣りしてしまいます。対応する録画機器にもよりますが、録画解像度自体は640×480≒30万画素、720×480≒35万画素、960×480≒45万画素と画質の粗さは否めません。また、CCDイメージセンサー及びチップセットの生産終了が相次いでおり、突然すべての製品が生産終了となることはないと思いますが、全体的に終息気味であり製品の継続性はあまり無いと言えます。但し、この点に関してはHD・フルHDカメラの多くにアナログ出力への切り替えが可能な機能が備わっており、解決策は用意されています。

アナログ防犯・監視カメラ(CVBS)

HD-SDIカメラ( HD-SDI防犯カメラ / HD-SDI または HD-CCTV )

HD-SDIカメラ( HD-SDI防犯カメラ / HD-SDI または HD-CCTV )

HD-SDI(High Definition Serial Digital Interface)はビデオ信号伝送規格の一つで、主に放送業界で使用される放送用ハイビジョンデジタルVTRで多く採用されている信号規格です。非圧縮のフルHD映像を伝送する為、最も高画質な映像伝送が可能な方式となり、防犯カメラ・監視カメラでも同軸配線を行う規格の中ではHD-SDI方式のカメラが最も高画質となります。反面、長距離配線には不向きであり、長距離配線を行うにはリピーターや電源重畳ユニットを使用する必要があります。また放送業界向けの機器が多いことから、コスト面でもハイコストとなってしまいます。

HD-SDIカメラのメリット

  • アナログに次ぐ実績
  • 非圧縮伝送による高精細映像
  • ノイズ耐性がある

HD-SDIカメラはフルHD画質が標準的であり、カメラの画素数は200万画素以上の高画質カメラがラインナップしています。元々、放送業界で主に採用されている規格であり、フルHD映像の伝送を非圧縮で行う為、映像劣化の無い高精細な映像撮影が可能です。また、デジタル伝送なのでノイズ耐性があり、HD画質・フルHD画質に対応した5つの規格の中では最も画質が良く、良質な監視映像を提供します。HD-SDIカメラは信頼のある国内外メーカーからも多くの機器が発売されている為、アナログ方式に次ぐ実績と信頼性があります。

HD-SDIカメラのデメリット

  • 配線可能距離が短い
  • ハイコストになってしまう

HD-SDIカメラは映像伝送を非圧縮で行う為、配線に用いる同軸ケーブルには5C-FBが推奨されています。5C-FBケーブル使用時、アナログカメラでは最大500mの配線が可能ですが、HD-SDIでは100m程度しか配線することができません。また、5C-2V使用時には60m、3C-2V使用時には30mとHD-SDIは他の規格に比べて大幅に配線可能距離が短くなります。配線距離をある程度得ることができる5C-FBケーブルは、5C-2Vと違って芯線が太く、また、編組の違いもある為、ケーブルが硬めとなります。その為、カメラ台数が増えれば増えるほど、ケーブルがかさばってしまう問題もあります。配線距離の問題は、長距離伝送を可能にするユニット等もラインナップしていますが、元々の機器代がハイコストであり、トータルで他の規格に比べてコストが割高となってしまいます。

HD-SDI防犯・監視カメラ

EX-SDIカメラ( EX-SDI防犯カメラ )

EX-SDI( EX-SDI防犯カメラ )

EX-SDI(Extended-Serial Digital Interface)は、韓国のチップセットメーカーであるEYENIXが開発したHD-SDIの規格を進化・拡張させたビデオ信号伝送規格です。HD-SDI同様にフルHD画質が標準的ですが、HD-SDIの問題点である配線距離のデメリットが改善され、HD-SDIと遜色ない高画質・高精細な映像を配線距離を気にせず使用することが出来ます。コスト面ではややハイコストですが、高精細映像と遜色ない映像を長距離デジタル伝送することができることから、期待度が高い新しい規格です。

EX-SDIカメラのメリット

  • HD-SDIと遜色ない高画質・高精細映像
  • 長距離配線が可能
  • ノイズ耐性がある
  • EX-SDI2.0(仮称)で3MP、5MP、4K解像度に対応

EX-SDIはHD-SDI同様にフルHD画質が標準的であり、カメラの画素数は200万画素以上の高画質カメラがラインナップしています。EX-SDIはHD-SDIよりも長距離の配線に対応し、5C-FB使用時に最大350mまで配線することができ、レシーバーを使用することでさらに配線距離を伸ばすことが可能です。また、長距離配線を実現しながら、HD-SDIと遜色ない高精細映像撮影が可能になります。EX-SDIはHD-SDI同様にデジタル伝送なのでノイズ耐性もあります。

EX-SDIカメラのデメリット

  • ややハイコストとなる
  • ややラインナップが少ない

HD-SDIに次いでコストが高く、導入コストがハイコストとなります。また、HD-SDI規格との互換性が無い為、受信側にEX-SDI映像信号が受信できる映像機器が必要となりますので汎用性は低くなります。HD-SDI / EX-SDIの混用使用可能なハイブリッドモデルもラインナップし始めている為、少しずつ互換性の問題は改善されていますが、単純な規格としての互換性はありませんので注意が必要です。チップセットメーカーのある韓国では需要が高まっていますが、日本国内でのラインナップはまだまだ少ない為、未知数な部分があります。

EX-SDI防犯・監視カメラ

AHDカメラ( AHD防犯カメラ / AHD1.0 / AHD2.0 )

AHDカメラ( AHD防犯カメラ / AHD1.0 / AHD2.0 / AHD3.0 )

AHD(Analog High Definition)は、韓国のチップセットメーカーのNEXTCHIPが開発し、韓国、台湾、中国のカメラメーカーの多くが採用している規格で、従来多く普及しているアナログカメラシステムのメリットを生かしながらHD・フルHD画質での撮影、録画を可能にした防犯カメラ・監視カメラの規格です。AHDはHD・フルHD規格の映像データをアナログに変換してHD・フルHD画質の映像を伝送します。映像データをアナログで伝送する為、HD・フルHD画質にもかかわらずアナログカメラと同様に最大500m(3C-2Vの場合は200m)の長距離配線ができます。3C-2V以上の同軸ケーブルで使用出来ることから既設のアナログカメラからリプレース(入れ替え)しやすく、アナログ画質からHD・フルHD画質へのリプレースにリスクが少ないというメリットがあります。AHDにはAHD1.0(AHD-M)、AHD2.0(AHD-H)の二つの方式(バージョン)があり、AHD1.0ではHD(720p)画質に、AHD2.0ではフルHD(1080p)に対応します。録画機器がAHD2.0対応の場合はAHD1.0、AHD2.0のどちらにも対応しますが、AHD1.0のみ対応する場合、AHD2.0のカメラは認識できない為、互換性に注意が必要です。
2017年頃より4メガピクセル解像度(4MP)、5メガピクセル解像度(5MP)の製品が新たにラインナップし始めました。これらはAHD3.0(仮称)としています。AHD3.0には4MPと5MPがあり、4MPの録画機器に5MPのカメラを接続した場合、5MP解像度では映像が表示されません。5MP解像度対応のカメラには4MP解像度への切り替えが可能なモデルが多く、4MP解像度に変更することで映像が表示されます。また、5MPよりも4MPの方が色の再現能力が高い印象もあり、4MP解像度での運用を推奨しています。

AHDカメラのメリット

  • 最も安価にHD画質・フルHD画質を導入できる
  • 既存のアナログカメラとの入れ替えが簡単
  • ラインナップが豊富
  • 長距離配線が可能

AHDカメラはAHD1.0がHD画質、AHD2.0がフルHD画質、AHD3.0(仮称)は4MP、5MP画質となります。カメラの画素数はAHD1.0が130万画素、AHD2.0では200万画素以上、AHD3.0では400~500万画素以上のカメラがラインナップしています。AHDカメラはアナログカメラとほとんど変わらないコストで導入ができるので、HD・フルHD画質以上の高解像度に対応した規格の中で最もコストを抑えてシステムを導入することができます。また、アナログ伝送を行う為、アナログカメラと同様に扱うことができ、配線も3C-2V以上の同軸ケーブルを使用して長距離配線が可能です。HD-SDIを除いたHD画質カメラとしてリリース時期が他の規格より早く、上記の通り低コストで導入できることから普及率が最も高く、ラインナップも豊富です。

AHDカメラのデメリット

  • AHD1.0、AHD2.0、AHD3.0の互換性に注意が必要
  • ノイズの影響を受ける

AHDカメラは他の規格と同じくHD画質、フルHD画質以上の高解像度を出力しますが、映像伝送をアナログに変換して伝送を行う為、エンコードとデコードを行います。結果としてエンコード、デコードを行うことで画質が劣化してしまい、同じ解像度をもったHD-SDI等の映像と比較すると画質は劣ってしまいます。また、映像伝送はデジタルではなくアナログ伝送の為、ノイズ耐性が無く、アナログカメラ同様に外部からのノイズを受けて、映像にノイズが乗ってしまう可能性があります。互換性についても注意が必要で、同じ規格であっても録画機器が対応している解像度以上の解像度で入力させた場合、映像が表示されません。その場合、カメラ側で解像度を変更できるモデルであれば、解像度を下げることで映像表示されます。

AHD防犯・監視カメラ

HD-TVIカメラ( HD-TVI防犯カメラ )

HD-TVIカメラ( HD-TVI防犯カメラ )

HD-TVI(High Definition Transport Video Interface)はアメリカのTechPoint社が開発した防犯カメラ・監視カメラの新しい規格です。非圧縮のフルHD映像を撮影し、アナログ伝送技術を用いて映像伝送を行う為、従来多く普及しているアナログカメラシステム同様の配線距離を維持しつつ、フルHD画質での撮影、録画を可能にします。AHD同様に3C-2V以上の同軸ケーブルで使用出来ることから既設のアナログカメラからリプレース(入れ替え)しやすく、アナログ画質からフルHD画質へのリプレースにリスクが少ないというメリットがあります。
また、HD-TVIもAHD同様に2017年頃より4メガピクセル解像度(4MP)、5メガピクセル解像度(5MP)の製品が新たにラインナップし始め、2018年7月現在では4K解像度モデルもランナップしております。

HD-TVIカメラのメリット

  • 200万画素以上のフルHD映像
  • 長距離配線が可能

HD-TVIカメラはフルHD画質が標準的であり、カメラの画素数は200万画素以上の高画質カメラがラインナップしています。また、AHDカメラと同様にアナログ伝送技術を用いて伝送を行う為、アナログカメラと同様に扱うことができ、配線も3C-2V以上の同軸ケーブルを使用して長距離配線が可能です。両規格を比較した場合、解像度はHD-TVIカメラとAHDカメラともに変わりませんが、HD-TVIカメラの方が若干画質が良く、コスト面ではAHDカメラの方が若干コストを抑えることができます。

HD-TVIカメラのデメリット

  • ややコストが高い
  • ノイズによる影響を受ける
  • ややラインナップが少ない

HD-TVIカメラの映像伝送はフルHD映像をアナログに変換して伝送を行う為、エンコードとデコードを行います。結果としてエンコード、デコードを行うことで画質が劣化してしまい、同じ解像度をもったHD-SDI等の映像と比較すると画質は劣ってしまいます。また、映像伝送はデジタルではなくアナログ伝送の為、ノイズ耐性が無く、アナログカメラ同様に外部からのノイズを受けて、映像にノイズが乗ってしまう可能性があります。AHDカメラと比較した場合、画質面では若干HD-TVIの方が良くなりますが、コスト面ではAHDの方がコストを抑えた導入ができ、また、国内でのラインナップ数が少ない為、選択肢が狭くなってしまいます。

HD-TVI防犯・監視カメラ

HDCVIカメラ( HDCVI防犯カメラ )

HDCVIカメラ( HDCVI防犯カメラ )

HDCVI(High Definition Composite Video Interface)は、中国の大手CCTVメーカーDahuaが開発した同軸ケーブルを使用してフルHD解像度を実現する規格です。AHDやHD-TVI同様に非圧縮のフルHD映像を撮影し、アナログ伝送技術を用いて映像伝送を行う為、従来多く普及しているアナログカメラシステム同様の配線距離を維持しつつ、フルHD画質での撮影、録画を可能にします。配線距離は5C-FB使用時は最大500m(3C-2Vの場合は200m)の長距離配線ができます。3C-2V以上の同軸ケーブルでも使用出来ることから既設のアナログカメラからリプレース(入れ替え)しやすく、アナログ画質からフルHD画質へのリプレースにリスクが少ないというメリットがあります。

HDCVIカメラのメリット

  • 他のアナログ伝送タイプに比べて画質が良い
  • AHDに次いでローコスト
  • 長距離配線が可能

HDCVIカメラはフルHD画質が標準的であり、カメラの画素数は200万画素以上の高画質カメラがラインナップしています。また、AHDカメラ、HD-TVIカメラ同様にフルHD映像をアナログ伝送技術を用いて伝送を行う為、アナログカメラと同様に扱うことができ、配線も3C-2V以上の同軸ケーブルを使用して長距離配線が可能です。HDCVI、AHD2.0、HD-TVI規格を比較した場合、解像度はともにフルHD(1920×1080)と変わりませんが、圧縮率の違いからかHDCVIカメラは最も良好な画質で撮影ができます。また、コスト面では中国メーカーなだけあり、全体的に低価格の製品がラインナップしており、コストを抑えた導入が可能です。

HDCVIカメラのデメリット

  • 他のアナログ伝送タイプに比べてやや配線距離が短い
  • ノイズによる影響を受ける
  • ラインナップ数が少ない

HDCVIカメラの映像伝送はフルHD映像をアナログに変換して伝送を行う為、エンコードとデコードを行います。結果としてエンコード、デコードを行うことで画質が劣化してしまい、同じ解像度をもったHD-SDI等の映像と比較すると画質は劣ってしまいます。また、映像伝送はデジタルではなくアナログ伝送の為、ノイズ耐性が無く、アナログカメラ同様に外部からのノイズを受けて、映像にノイズが乗ってしまう可能性があります。但し、HD-TVIカメラやAHD2.0カメラと比較した場合、圧縮率の違いからか、上記2つの規格よりも画質が良い印象があります。反面、配線には5C-FBケーブルを推奨されており、AHD及びHD-TVIよりも実質の配線距離は短くなるケースがあります。また、開発メーカーの規制が厳しく、取扱メーカーとしては実質Dahua又は同メーカーのOEM製品しかない為、ラインナップ数が少ないというデメリットがあります。

HDCVI防犯・監視カメラ

ネットワークカメラ・IPカメラ

ネットワークカメラ・IPカメラ

ネットワークカメラ・IPカメラはカメラ本体にIPアドレスを持ち、WEBサーバーを内蔵したカメラです。カメラとコンピュータが一体化したものであり、本体に固有のIPアドレスを割り当てることができるので、ネットワーク環境さえあれば単独で機能します。ネットワークを介して使用するカメラ、IPアドレスを持つカメラであることから、ネットワークカメラ又はIPカメラと呼ばれています。似たような名称でWEBカメラがありますが、WEBカメラはIPアドレスを持たず、カメラを動作させる為にUSBやIEEE1394ポートを使ってコンピュータに繋げる必要があり、単体では機能しません。その為、単体で機能し、IPアドレスを持つカメラがネットワークカメラ・IPカメラとなります。ネットワークカメラ・IPカメラには特に防犯カメラ・監視カメラの規格はありませんが、比較対象の為、本ページに掲載致しました。

ネットワークカメラ・IPカメラのメリット

  • 高解像度モデルがラインナップ
  • 拡張性がある
  • 増設のし易さ
  • 録画装置を別の場所に設置できる

ネットワークカメラ・IPカメラはパソコンを用いて映像確認を行う為、解像度が高い製品が多く、4K対応モデルなどもラインナップしています。その為、ライブ時や再生時にデジタルズームをしても高精細な映像を得ることができます。また、製品によっては映像配信だけでなく、音声配信やカメラのパン・チルト・ズーム操作、音声双方向通信を行うことができ、さらに、高性能な録画装置(NVR:ネットワークビデオレコーダー)と組み合わせて使用したり、映像解析などのアプリケーションソフトを導入することで、高性能な検知機能を利用したり、ナンバープレートの認識や人数カウンター、顔認識などを行うこともでき、高いシステム・インテグレーションを実現することができます。配線もPoE対応モデルであればLANケーブル1本で行うことができ、例えば既設LANケーブルとHUBを用いることでカメラの増設を容易に行うことができる為、増設の容易性や設置台数が多くなるシステムに適合します。この他、カメラ設置場所と録画装置設置場所を分けたり、クラウド上へ録画データの保存を行うことで、録画装置の破壊や持ち去りを防ぐことができます。

ネットワークカメラ・IPカメラのデメリット

  • ハイコスト
  • 最大伝送距離が100mと短い
  • 映像に遅延が生じる
  • ネットワーク設計が難しい
  • 録画の安定性に欠ける

費用面では導入費用や維持費用がハイコストとなってしまい、一般的な防犯カメラ・監視カメラと比べた場合、2~3倍のコストが掛かります。また、ネットワーク環境に依存する為、ネットワークの状況によっては映像が止まったり、映らなくなる、大幅な遅延が生じる問題があります。特に映像の遅延については、ネットワークカメラ・IPカメラの特性上、避けることができず、よほどビットレートを下げない限り数秒遅れでの映像表示となります。ネットワークカメラ・IPカメラを導入する場合、システムの計画や構築に時間を要し、また、カメラの知識だけでなく、ネットワークの知識も必要となります。適切なネットワークの設計が行われていないと、映像の遅延や映像が一時的に欠けてしまうこともあり、結果として録画も欠けてしまう場合があります。ネットワークカメラ・IPカメラの録画は専用録画装置であるNVR(ネットワークビデオレコーダー)又は専用アプリケーションをコンピュータにインストールして行いますが、ネットワークを使用してデータ転送を行う為、ネットワークの遅延や障害により、録画が欠損してしまうケースもあり、安定した録画を行うという点では、スタンドアローン方式の防犯カメラ・監視カメラよりも劣ってしまいます。

ネットワーク・IP防犯・監視カメラ

総括

以上が防犯カメラ・監視カメラの規格についてのご説明となります。

では、一体どの規格を選べば良いのか?と言う話ですが、店舗販売から現場サイドでの施工まで携わる者としての印象をお話致します。ご紹介致しました規格順にお話したいと思います。

1.アナログ防犯カメラ

まず、アナログ(CVBS)ですが、現状の画質で満足がいっていて、ほぼ同じ仕様で交換をしたい場合か、お手持ちのモニターや録画機器がアナログ入力のみの場合に新設するぐらいでしょうか。長年の実績があることや相性問題がほとんど無かったり、既存ケーブルを利用したリプレース(更新)時に問題が生じる可能性が少ない等のメリットはあるのですが、HD画質、フルHD画質が標準的となってきた昨今では、画質の低さは大きなデメリットとなります。機器一式を新規で揃える場合にはアナログ(CVBS)の選択肢は皆無だと思います。

2.HD-SDI防犯カメラ

次に、HD-SDIですが、ネットワーク・IPを除いた規格の中では、画質の良さは群を抜いています。伝送時にアナログ変換しない為、他のアナログ変換を行う規格と比べて粗さが無く、デジタル伝送ならではの良質な映像表示が可能です。EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVIの中では最も高画質で撮影が出来る規格です。デメリットとしては配線ケーブルに5C-FBを使用する必要があり、5C-FBは3C-2Vや5C-2Vと比べてケーブルが硬く、太い為、配線の取り回しがし難く、ケーブルを纏める際にもひと手間かかります。その為、カメラの設置台数が増えれば増えるほど、集約場所でケーブルを収納するのに手を焼きます。この点についてはラックなどに入れてしまえば問題は無いとは思いますが、ケーブルの収納に手間がかかる印象です。また、映像を非圧縮で送るという大きなメリットがある反面、それがデメリットとなってしまい、配線可能距離が他の規格に比べて短くなります。メーカーによっては5C-FB使用時の配線可能距離は100m~120mと記載してありますが、安心してご使用いただける距離は70~80m以内まででしょうか。また、ケーブル長が足りない等で、途中でケーブルを圧着したり、中継することはご法度です。HD-SDIは既設ケーブルに5C-FBを使用しており、その配線距離が80m以内である場合、もしくは全て新設する場合で、とにかく出来るだけ高画質で撮影をしたい場合には最有力候補になると思います。また、HD-SDIは放送業界が採用している規格と言うのも大きなアドバンテージだと思います。

3.EX-SDI防犯カメラ

次に、EX-SDIですが、こちらは韓国のチップセットメーカーENYNIXが開発したHD-SDI規格を進化・拡張させた規格です。放送業界の技術基準では無い為、未知数な部分はありますが、映像の質に関してはHD-SDIに次ぐ画質の良さで撮影ができます。HD-SDIと比較した場合、ほとんど遜色ない映像に見えますが、よく見比べるとほんのわずかに粗さが出る程度の差があります。これはHD-SDIでは映像伝送をデジタル非圧縮で行うのに対してEX-SDIでは僅かながらに映像伝送時に圧縮をかける関係で出るものです。ただ、アナログ変換をしている訳では無いので、比べなければ分からない程度であり、さほど大きな問題には感じられないほどの良質な撮影ができます。HD-SDIと比較して2~3倍配線距離が伸びるという大きなメリットを鑑みれば、ほんの僅かな映像劣化は小事だと思います。EX-SDIはまだまだラインナップが少なく、これから実績が作られていく規格だと思いますが、配線可能距離の長さとHD-SDIと遜色のない高画質撮影が可能な点から、これから少しずつ需要が増えていくと感じています。配線距離に問題が無ければ放送業界が採用しているHD-SDIがお奨めなのは変わりはありませんが、配線距離に難がある場合で、出来るだけ高画質撮影を行いたい場合にはEX-SDIは良い選択肢だと思います。追加情報としてEX-SDIは2.0で4MP以上の解像度に対応したモデルが順次ラインアップ予定となっています。将来的には4K対応の予定もあります。ハイコストとはなりますが、画質重視で同軸系の防犯カメラ・監視カメラシステムを構築したい場合には選択肢の一つとしてあっても良いと思います。なお、ワイケー無線ではEX-SDIは業務施工向けでお取り扱いをしておりますので、EX-SDIでのシステム構築をご検討の場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

4.AHD防犯カメラ

次に、AHDですが、アナログカメラの配線ケーブルをそのまま用いて防犯カメラの映像を手軽にHD、フルHD画質化することができることを売りとした規格で、HD-SDIを除いたHD画質カメラとしては他の規格よりもリリース時期が早かったこともあり最も普及率が高い規格です。その為、ラインナップが豊富で幅広い選択肢があります。また、コスト面でもアナログカメラとほとんど変わらずに導入することができることから、既設アナログ防犯カメラのリプレースを始め、新規で出来るだけコストを抑えてHD、フルHD画質で撮影したい場合にお奨めです。配線距離に関してはアナログカメラとほぼ同等と言われていますが、アナログカメラに比べて若干短くなる印象があります。また、伝送時にデジタルからアナログ変換をかけている為、アナログ伝送となりますので、他の機器との干渉があったり、配線距離が長くなるとややノイジーな映像になることがあります。総合的に見た印象では画質面ではざらつきが目立ち、他の規格に比べてやや劣る印象がありますが、それでもフルHD解像度での撮影ができることから、十分と言えば十分な画質です。コストを抑えたリプレースや導入が可能なので、コスト面と画質面のバランスが良く、画質はそこそこ、コストは出来るだけ抑えたいという場合にお奨めの規格です。 なお、AHDはリリース当初はHD画質に対応したAHD1.0が主流でしたが、現在はフルHD画質に対応したAHD2.0が主流になっています。また、2017年頃よりAHD3.0(仮称)として4MP、5MP製品がラインナップし始めました。フルHDでも十分な高精細録画が可能ですが、フルHDよりも高画質になさりたい場合にはAHD3.0(仮称)の製品をご検討下さい。なお、AHD3.0の4メガピクセル解像度(4MP)と5メガピクセル解像度(5MP)の違いですが、単純に5MPだから良いという訳では無い印象を持っています。解像度は5MPが2592×1944、4MPが2560×1440となり、アスペクト比は5MPは4:3、4MPでは16:9となります。垂直解像度が高い分、5MPの方が垂直画角は広くなりますが、16:9のモニターに映像表示させた場合、やや縦に伸びたような映像になります。一方、4MPの方は解像度こそ劣りますが、16:9表示に最適化されており、また、実際に映像を比較した印象として5MPよりも4MPの方が色の再現能力が高く、フレームレートも5MPでは最大15~20fpsに対して、4MPでは30fpsのフル動画撮影が可能なので映像が良好に表示される印象を受けます。
ストレージ容量の問題も加味すると4MP解像度での運用でも十分な印象があります。

5.HD-TVI防犯カメラ

次に、HD-TVIですが、AHDと双璧をなす規格となり、アナログカメラの配線ケーブルをそのまま用いて防犯カメラの映像を手軽フルHD画質化することができる規格です。画質面ではAHDと比較するとざらつきが少なくなる分、HD-TVIにアドバンテージがあります。ただ、AHDと同様に伝送時にデジタルからアナログ変換をかける為、他の機器との干渉や配線距離が長くなるとノイズが出てしまうことがありますので、この点はAHDと大差がないと感じます。また、コスト面ではAHDと比べると若干割高になるのと、日本では取扱メーカーが少ない関係でラインナップが少なく、選択肢が狭い印象があります。EX-SDIが登場する以前は、画質を重視するならHD-SDI、画質と配線距離を重視するならHD-TVI、コストを重視する場合はAHDという序列が何となくありましたが、EX-SDI登場以降、画質を重視する場合はHD-SDI、画質と配線距離を重視する場合はEX-SDI、コストを重視する場合はAHDとなり、HD-TVIはEX-SDIよりもほんのわずかにコストが下がり、画質ではAHDよりも少し良くなる印象なので、やや中途半端な位置にある気がします。

6.HDCVI防犯カメラ

次に、HDCVIですが、中国の大手CCTVメーカーDahuaが開発した規格で、AHD、HD-TVIと同じく映像伝送をデジタルからアナログに変換して伝送を行う為、アナログカメラの配線ケーブルをそのまま用いて防犯カメラの映像を手軽にフルHD画質化することができるメリットがあります。ただ、AHDやHD-TVIに比べると若干配線可能距離が短く、配線自体も5C-FBが推奨されている等、AHDやHD-TVIに比べると配線可能距離が若干短くなる印象です。その分、画質に関してはAHD、HD-TVIよりも良好で、アナログ伝送を行う規格の中では最も画質が良く、コストもAHDに次いで低コストなので、画質を重視しながらもコストを抑えたい場合に大変お奨めです。また、PTZカメラも同軸1本で制御信号を伝送できるので、敷居の高い印象のあるPTZカメラを手軽に導入できるというメリットもあります。デメリットを挙げるとしたら、基本的にはDahua製品及びOEM製品しかない為、ラインナップ数が貧弱と言う点でしょうか。

7.ネットワーク・IPカメラ

最後に、ネットワーク・IPカメラについても話したいと思います。ネットワーク・IPカメラの利点は多々ありますが、強いて挙げるとすれば拡張性だと思います。例えばA棟、B棟、C棟の3棟の建物があるとします。A棟に集約場所を設け、各棟にカメラを4台ずつ設置する場合、上記で紹介した6つの規格のカメラではカメラ毎に集約場所のA棟まで配線する必要がありますが、ネットワーク・IPカメラは各棟にHUBを設けることで、各棟を結ぶ配線をLANケーブル1本で済ますことができ、配線を簡素化できることができます。さらに増設時にもその恩恵を受けることができ、上記6つの規格のカメラで、仮にC棟にカメラを3台増設する場合、3本のケーブルをA棟まで配線する必要がありますが、ネットワーク・IPカメラではC棟に設置してあるHUBまで配線を行うことで増設することができます。これにより施工費の大幅な削減を見込むことができます。このようにネットワーク・IPカメラは拡張性(増設性)に優れており、大規模施設へ防犯カメラを導入する場合には、管理も含め、ネットワーク・IPカメラのアドバンテージは非常に高いと言えます。また、高度なソフトウェアと組み合わせることで、より的確な検知録画を行ったり、入退管理を行えるなどの付加機能も多く、様々なメリットがあります。ただ、良いこと尽くめという訳にはいかず、ネットワークに関しては設計や運用に大きな手間がかかるのも事実で、管理のできる担当者がいない場合は運用し辛い面があります。また、遠隔地に設置してあるカメラ映像を遠隔録画する際、録画欠損等の問題も危惧されます。事実、メーカーによっては録画機器はカメラ設置場所と同じ場所に設置し、現地録画を推奨しているメーカーも多いです。こうなると上記6つの規格でも同様のことができる製品もある為、録画機器を遠隔地に設置できるというアドバンテージが無くなってしまいます。もちろんこの問題を回避する為にカメラ設置場所と録画機器設置場所双方でビジネス回線を契約したりギガ回線にするなどの対策が必要で、やはり敷居が高い部分はあります。ネットワーク・IPカメラは画質も良く、上手く構築できればとても良いシステムが組めるのですが、上記6つの規格に比べて敷居が高く、コストも高めになると思ってください。

以上、一部私見も入っていますが、店舗販売や施工で防犯カメラ、監視カメラを専門的に扱う者として、実際に現場で感じた印象となります。
また、2016年から2017年にかけて防犯カメラ、監視カメラの映像はフルHD画質が標準的になりました。乱立している規格も統一された訳ではありませんが、各規格の混在使用が可能なハイブリッドモデルも多くなってきました。これによりある程度規格が異なった場合でも混在使用が可能になりつつあります。そして2017年後半には各規格のさらなる高画質化が進んでいます。AHD及びHD-TVIは4メガピクセル解像度、5メガピクセル解像度の製品がラインナップし始め、EX-SDI及びHDCVIも同様に高解像度化が進んでいます。東京オリンピックが開催される頃には4K解像度(8メガピクセル)が標準的となる時代が来ると思われます。
ただ、画質は高ければ高い程良いと思われがちですが、解像度が向上するということは録画時のデータ量も増えることとなり、結果として録画期間が短くなる為、HDDの容量を増やす等の対策が必要となってきます。また、モニターも4Kモニターにしない限りはパッと見では画質の違いが分からない点もあります。もちろんデジタルズーム時にその恩恵は受けられますが、普及率の多いフルHDモニター・テレビでは監視モニタリング時に大差は感じられないと思います。
現状のニーズとしてフルHD解像度はまだまだ需要が高く、ネットワークカメラとはなりますが国内大手のパナソニックやキヤノンの防犯カメラ・監視カメラでもフルHDモデルが主流です。もちろん少しでも画質が高い方が良いとお考えの場合は4メガピクセル以上の製品をお奨め致しますが、録画期間やコスト面、互換性や製品ラインナップの豊富さを重視する場合にはフルHD製品をお奨め致します。
これから先も各規格の優劣が変わってくる可能性は十分にあると思います。その時は都度ページを編集して、常に現場サイドが感じる直接的な印象をお伝えして行けるようにしたいと思います。

弊社は撮像管時代から防犯カメラ、監視カメラをお取り扱いしており、その時代と比べると防犯カメラ、監視カメラの進化には目を見張るものがあります。これからも益々進化していくであろうと思いますが、お客様にはその時その時に合った最適な機器をご提供して行きたいと考えています。防犯カメラ、監視カメラについてのご質問やシステム構築等、お気軽にご相談下さい。